Previous Next

Zend_Db_Statement

Zend_Db_Adapter で説明した fetchAll()insert() のような便利なメソッド以外にも、 ステートメントオブジェクトを使用することで、 より柔軟にクエリの実効や結果の取得ができるようになります。 ここでは、ステートメントオブジェクトを取得してそのメソッドを使用する方法を説明します。

Zend_Db_Statement は、 » PHP Data Objects 拡張モジュールの PDOStatement オブジェクトをもとにしたものです。

ステートメントの作成

通常は、ステートメントオブジェクトはデータベースアダプタクラスの query() メソッドの返り値として取得します。 このメソッドは、任意の SQL 文を実行することができます。 最初の引数には SQL 文を指定し、 オプションの二番目の引数には SQL 文中のプレースホルダを置き換える バインド変数の配列を指定します。

Example #1 query() による SQL ステートメントオブジェクトの作成

query('SELECT * FROM bugs WHERE reported_by = ? AND bug_status = ?',
                array('goofy', 'FIXED'));

ステートメントオブジェクトは、準備された SQL 文に対して 変数の値をバインドして一度実行したものに対応します。 そのステートメントが SELECT クエリあるいは何らかの結果セットを返すものであった場合は、 すでに結果を取得する準備ができています。

ステートメントオブジェクトをコンストラクタから作成することもできますが、 あまり一般的ではありません。このオブジェクトを作成するための ファクトリメソッドはないので、特定のステートメントクラスを読み込んで そのコンストラクタをコールすることになります。 コンストラクタの最初の引数にはアダプタオブジェクトを指定し、 二番目の引数には SQL 文を文字列で指定します。 このステートメントは、準備されただけでまだ実行されていない状態となります。

Example #2 SQL ステートメントのコンストラクタの使用



        

ステートメントの実行

ステートメントをコンストラクタから作成した場合や、 一度実行したステートメントをもう一度実行したい場合などは、 ステートメントオブジェクトを自分で実行する必要があります。 その場合は、ステートメントオブジェクトの execute() メソッドを使用します。このメソッドに渡す引数は、 ステートメント中のプレースホルダにバインドする変数の値の配列となります。

位置指定によるパラメータ、 つまりクエスチョンマーク (?) でパラメータを指定している場合は、 バインドする値は通常の配列で渡します。

Example #3 位置指定パラメータによるステートメントの実行

execute(array('goofy', 'FIXED'));

名前つきパラメータ、 つまり先頭にコロン (:) をつけた識別子で パラメータを指定している場合は、バインドする値を連想配列で渡します。 配列のキーが、パラメータの名前に対応します。

Example #4 名前つきパラメータによるステートメントの実行

execute(array(':reporter' => 'goofy', ':status' => 'FIXED'));

PDO のステートメントは位置指定パラメータと名前つきパラメータの両方をサポートしています。 しかし、ひとつの SQL の中で両方を使用することはできません。 Zend_Db_Statement クラスの中には PDO を使用していないものもありますが、 それらの中にはいずれか一種類の形式のパラメータしかサポートしないものもあるかもしれません。

SELECT 文からの結果の取得

ステートメントオブジェクトのメソッドをコールすることで、 SQL 文の結果セットから行を取得することができます。 SELECT、SHOW、DESCRIBE そして EXPLAIN などのステートメントが結果セットを返します。 INSERT、UPDATE そして DELETE などのステートメントは結果セットを返しません。 後者のような SQL 文も Zend_Db_Statement で実行できますが、 その結果から行を取得するメソッドをコールすることはできません。

結果セットからの単一の行の取得

結果セットから単一の行を取得するには、ステートメントオブジェクトの fetch() メソッドを使用します。 このメソッドの三つの引数は、いずれも省略可能です。

  • 最初の引数は 取得形式 を指定します。これは、返り値の構造を決めるものです。 ここで指定できる値と対応する返り値については フェッチモードの変更 を参照ください。

  • 二番目の引数で指定するのは、 カーソルの種類 です。デフォルトは Zend_Db::FETCH_ORI_NEXT で、fetch() をコールするたびに RDBMS が返す順で次の行を返すというものです。

  • 三番目の引数で指定するのは オフセット です。 カーソルの種類が Zend_Db::FETCH_ORI_ABS の場合、 これは結果セットの中の何行目を返すのかを表します。 カーソルの種類が Zend_Db::FETCH_ORI_REL の場合、 これは直前に fetch() をコールした際の位置からの相対位置を表します。

すでに結果セットのすべての行が取得済みである場合は fetch()false を返します。

Example #5 ループ内での fetch() の使用

query('SELECT * FROM bugs');

while ($row = $stmt->fetch()) {
    echo $row['bug_description'];
}

» PDOStatement::fetch() のマニュアルも参照ください。

結果セット全体の取得

結果セットのすべての行を一度に取得するには、 fetchAll() メソッドを使用します。 これは、ループ内で fetch() メソッドを繰り返し使用してすべての行を配列に格納するのと同じことです。 fetchAll() メソッドにはふたつの引数を指定できます。 最初の引数は、先ほど説明したのと同じ取得形式です。 二番目の引数は、返すカラム番号を指定します。これは最初の引数が Zend_Db::FETCH_COLUMN である場合に使用します。

Example #6 fetchAll() の使用法

query('SELECT * FROM bugs');

$rows = $stmt->fetchAll();

echo $rows[0]['bug_description'];

» PDOStatement::fetchAll() のマニュアルも参照ください。

取得形式の変更

デフォルトでは、ステートメントオブジェクトが結果セットの行を返す形式は連想配列で、 カラム名とそのカラムの値を関連付けたものとなります。 結果を別の形式で返すように指定する方法は、アダプタクラスの場合と同じです。 ステートメントオブジェクトの setFetchMode() メソッドで、取得形式を指定します。指定できる値は、Zend_Db クラスの定数 FETCH_ASSOC、FETCH_NUM、FETCH_BOTH、FETCH_COLUMN そして FETCH_OBJ です。 これらについての詳細は フェッチモードの変更 を参照ください。 これを指定すると、それ以降の fetch() メソッドや fetchAll() メソッドでその形式を使用するようになります。

Example #7 取得形式の設定

query('SELECT * FROM bugs');

$stmt->setFetchMode(Zend_Db::FETCH_NUM);

$rows = $stmt->fetchAll();

echo $rows[0][0];

» PDOStatement::setFetchMode() のマニュアルも参照ください。

結果セットからの単一のカラムの取得

結果セットの次の行から単一のカラムの値を取得するには fetchColumn() を使用します。 取得するカラムの位置を表すインデックスを引数で指定します。 省略した場合のデフォルトは 0 となります。このメソッドは、 スカラー値を返します。もし結果セットのすべての行が既に取得済みである場合は false を返します。

このメソッドの動作は、アダプタクラスの fetchCol() メソッドとは異なることに注意しましょう。 ステートメントクラスの fetchColumn() メソッドは、 単一の行の単一の値を返します。アダプタの fetchCol() メソッドは、値の配列を返します。 これは、結果セットのすべての行の、最初のカラムの値をまとめたものです。

Example #8 fetchColumn() の使用法

query('SELECT bug_id, bug_description, bug_status FROM bugs');

$bug_status = $stmt->fetchColumn(2);

» PDOStatement::fetchColumn() のマニュアルも参照ください。

オブジェクト形式での行の取得

結果セットの行をオブジェクトとして取得するには fetchObject() を使用します。このメソッドの引数は二つで、 いずれも省略可能です。最初の引数には、返り値のオブジェクトのクラス名を指定します。 デフォルトは 'stdClass' です。二番目の引数には配列を指定します。 これは、最初の引数で指定したクラスのコンストラクタに渡す引数となります。

Example #9 fetchObject() の使用法

query('SELECT bug_id, bug_description, bug_status FROM bugs');

$obj = $stmt->fetchObject();

echo $obj->bug_description;

» PDOStatement::fetchObject() のマニュアルも参照ください。

Previous Next
Introduction to Zend Framework
概要
インストール
Zend_Acl
導入
アクセス制御の洗練
高度な使用法
Zend_Auth
導入
データベースのテーブルでの認証
ダイジェスト認証
HTTP 認証アダプタ
LDAP 認証
Open ID 認証
Zend_Cache
導入
キャッシュの仕組み
Zend_Cache のフロントエンド
Zend_Cache のバックエンド
Zend_Captcha
Introduction
Captcha Operation
Captcha Adapters
Zend_Config
導入
動作原理
Zend_Config_Ini
Zend_Config_Xml
Zend_Console_Getopt
Getopt について
Getopt の規則の宣言
オプションおよび引数の取得
Zend_Console_Getopt の設定
Zend_Controller
Zend_Controller クイックスタート
Zend_Controller の基本
フロントコントローラ
リクエストオブジェクト
標準のルータ: Zend_Controller_Router_Rewrite
ディスパッチャ
アクションコントローラ
アクションヘルパー
レスポンスオブジェクト
プラグイン
モジュラーディレクトリ構造の規約の使用
MVC での例外
以前のバージョンからの移行
Zend_Currency
Zend_Currency について
通貨の操作方法
以前のバージョンからの移行
Zend_Date
導入
動作原理
基本メソッド
Zend_Date API の概要
日付の作成
日付関数全般用の定数
動作例
Zend_Db
Zend_Db_Adapter
Zend_Db_Statement
Zend_Db_Profiler
Zend_Db_Select
Zend_Db_Table
Zend_Db_Table_Row
Zend_Db_Table_Rowset
導入
Zend_Debug
変数の出力
Zend_Dojo
Introduction
Zend_Dojo_Data: dojo.data Envelopes
Dojo View Helpers
Dojo Form Elements and Decorators
Zend_Dom
導入
Zend_Dom_Query
Zend_Exception
例外の使用法
Zend_Feed
導入
フィードの読み込み
ウェブページからのフィードの取得
RSS フィードの使用
Atom フィードの使用
単一の Atom エントリの処理
フィードおよびエントリの構造の変更
独自のフィードクラスおよびエントリクラス
Zend_File
Zend_File_Transfer
Validators for Zend_File_Transfer
Zend_Filter
導入
標準のフィルタクラス群
フィルタチェイン
フィルタの書き方
Zend_Filter_Input
Zend_Filter_Inflector
Zend_Form
Zend_Form
Zend_Form クイックスタート
Zend_Form_Element を用いたフォーム要素の作成
Zend_Form によるフォームの作成
Zend_Form_Decorator による独自のフォームマークアップの作成
Zend Framework に同梱されている標準のフォーム要素
Zend Framework に同梱されている標準のデコレータ
Zend_Form の国際化
Zend_Form の高度な使用法
Zend_Gdata
Gdata について
AuthSub による認証
ClientLogin による認証
Google Calendar の使用法
Google Documents List Data API の使用法
Google Spreadsheets の使用法
Google Apps Provisioning の使用法
Google Base の使用法
YouTube Data API の使用法
Picasa Web Albums の使用法
Gdata の例外処理
Zend_Http
Zend_Http_Client - 導入
Zend_Http_Client - 高度な使用法
Zend_Http_Client - 接続アダプタ
Zend_Http_Cookie および Zend_Http_CookieJar
Zend_Http_Response
Zend_InfoCard
導入
Zend_Json
導入
基本的な使用法
JSON オブジェクト
XML から JSON への変換
Zend_Json_Server - JSON-RPC server
Zend_Layout
導入
Zend_Layout クイックスタート
Zend_Layout の設定オプション
Zend_Layout の高度な使用法
Zend_Ldap
導入
Zend_Loader
ファイルやクラスの動的な読み込み
プラグインのロード
Zend_Locale
導入
Zend_Locale の使用法
正規化および地域化
日付および時刻の扱い
ロケールがサポートする言語
ロケールがサポートする地域
Zend_Log
概要
ライター
フォーマッタ
フィルタ
Zend_Mail
導入
SMTP 経由での送信
SMTP 接続による複数のメールの送信
異なる転送手段の使用
HTML メール
ファイルの添付
受信者の追加
MIME バウンダリの制御
追加のヘッダ
文字セット
エンコーディング
SMTP 認証
セキュアな SMTP トランスポート
メールメッセージの読み込み
Zend_Measure
導入
計測値の作成
計測値の出力
計測値の操作
計測値の型
Zend_Memory
概要
メモリマネージャ
メモリオブジェクト
Zend_Mime
Zend_Mime
Zend_Mime_Message
Zend_Mime_Part
Zend_OpenId
導入
Zend_OpenId_Consumer の基本
Zend_OpenId_Provider
Zend_Paginator
Introduction
Usage
Configuration
Advanced usage
Zend_Pdf
導入
PDF ドキュメントの作成および読み込み
PDF ドキュメントへの変更内容の保存
ドキュメントのページ
描画
ドキュメントの情報およびメタデータ
Zend_Pdf モジュールの使用例
Zend_Registry
レジストリの使用法
Zend_Rest
導入
Zend_Rest_Client
Zend_Rest_Server
Zend_Search_Lucene
概要
インデックスの構築
インデックスの検索
クエリ言語
クエリ作成用の API
文字セット
拡張性
Java Lucene との相互運用
応用
ベストプラクティス
Zend_Server
導入
Zend_Server_Reflection
Zend_Service
導入
Zend_Service_Akismet
Zend_Service_Amazon
Zend_Service_Audioscrobbler
Zend_Service_Delicious
Zend_Service_Flickr
Zend_Service_Nirvanix
Zend_Service_ReCaptcha
Zend_Service_Simpy
導入
Zend_Service_StrikeIron
Zend_Service_StrikeIron: バンドルされているサービス
Zend_Service_StrikeIron: 応用編
Zend_Service_Technorati
Zend_Service_Yahoo
Zend_Session
導入
基本的な使用法
高度な使用法
グローバルセッションの管理
Zend_Session_SaveHandler_DbTable
Zend_Soap
Zend_Soap_Server
Zend_Soap_Client
WSDL Accessor
AutoDiscovery. Introduction
Class autodiscovering.
Functions autodiscovering.
Autodiscovering. Datatypes.
Zend_Test
Introduction
Zend_Test_PHPUnit
Zend_Text
Zend_Text_Figlet
Zend_TimeSync
導入
Zend_TimeSync の動作
Zend_Translate
導入
Zend_Translate のアダプタ
翻訳アダプタの使用法
Zend_Uri
Zend_Uri
Zend_Validate
導入
標準のバリデーションクラス群
バリデータチェイン
バリデータの書き方
Zend_Version
Zend Framework のバージョンの取得
Zend_View
導入
コントローラスクリプト
ビュースクリプト
ビューヘルパー
Zend_View_Abstract
Zend_Wildfire
Zend_Wildfire
Zend_XmlRpc
導入
Zend_XmlRpc_Client
Zend_XmlRpc_Server
Zend Framework のシステム要件
PHP のバージョン
PHP の拡張モジュール
Zend Framework のコンポーネント
Zend Framework の依存性
Zend Framework PHP 標準コーディング規約
概要
PHP ファイルの書式
命名規約
コーディングスタイル
著作権に関する情報